【求人票の見方】怪しい求人の見分けるポイント②労働時間・残業代制度編

転職知識

前回は給与条件に付いて解説しましたが、今回は割と重要な残業代制度について解説していきます。

残業代制度は転職エージェントのプロでも特に注意して確認するポイントなので、しっかりポイントを押さえてリスクに気づけるようになりましょう。

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労働時間の考え方について

まず知っておいていただきたいのは、労働時間には労働基準法で定められた法定労働時間と、会社ごとに決められた所定労働時間の2種類があるということです。残業代はこの2種類の労働時間によって計算方法や支給額が変わります。

法定労働時間

法定労働時間とは、労働基準法よって定められた労働時間。法定労働時間は原則1日8時間以内かつ週40時間以内とされている。

所定労働時間

所定労働時間とは、会社ごとに決められた労働時間のこと。これは法定労働時間内におさまっていれば会社の事情で自由に決めることが可能。

それぞれの会社の就業規則にもよりますが、基本的には法定労働時間を超過する分(時間外労働)に対して割増賃金が支払われます。

・時間外労働:割増率25%以上
・休日労働(法定休日):割増率35%以上
・深夜労働(午後10時から午前5):割増率25%以上

上記は最低限の率なので、会社の就業規則でより良い条件を設定しているところもありますので、これから解説するものはあくまで原則であり、よりよい条件設定がある会社では当てはまらないこともありますので注意してください。

また、休日に関しては法定休日と所定休日があり、これも労働時間の考え方と同じで法律で定められた休日か会社で定めた休日かの違いです。割増率35%以上が適用されるのは法定休日に対してですので注意が必要です。

法定休日

労働基準法が定めている「1週に1日以上の休日」、または「4週4日以上の休日」のこと。

少しややこしいのが、法定労働時間と法定労働時間に差がある場合です。上記のように会社が定める所定労働時間が7時間の場合を例に見ていきましょう。

法定労働時間との間に1時間差がありますので、原則に従えば17:00~18:00は会社的には残業だが、法律の定める労働時間内なので残業代は支払われるが、割増はなく通常の労働時間内と同様の1時間分の給与が支給されます。

18:00以降の残業については、法律の定める労働時間を超えますので、残業代には割増賃金が適用されます。これがさらに深夜まで業務が及んだり、休日に業務すればさらに割増率が増えていきます。

残業代制度について

次に残業代制度の種類と違いについて理解していきましょう。

細かく制度内容を把握したり覚えておく必要はありませんが、ざっくりと概念的なところだけでも理解し、求人票を見た際に違和感に気が付ける、というぐらいの状態になれば十分です。

残業代支払制度は主に下記3つの種類があります。

  • 時間連動制
  • 固定残業代制(みなし残業代制度)
  • 裁量労働制
  • 事業場外労働のみなし労働時間制度

それぞれ簡単に解説していきます。

時間連動制、文字通りに残業した時間分だけ残業代が支払われる制度です。ですので繁忙期・閑散期によって月に支払われる残業代も増減します。

固定残業代制度、これは「時間外労働、休日労働、深夜労働の有無にかかわらず、一定時間分の時間外労働などについて割増賃金を定額で支払う制度」のことです。

例えば、固定残業代を20時間で定めている場合、仮に20時間の時間外労働がなかったとしても、毎月固定で20時間分の残業代を貰えることになります。残業時間が0時間でも10時間でも20時間でも同じ金額が支払われます。

もし月の残業時間が20時間を超えた場合は、超過分を固定残業代に追加して支払われます。超過分は時間に応じた金額が支払われます。通常は固定残業代○○円/月(○○時間分)という形で求人票には表記があります。固定残業代は○○時間を働いたとみなして支払われる残業代制度のため、「みなし残業代制度」と呼ばれることもあります。

固定残業代制度は働いていなくても残業代を一律で支払わないといけないため、会社にとってはデメリットではないかと思ってしまいますが、固定で一律で支払うため給与計算が圧倒的に楽になるというメリットがあり、大人数の従業員を抱える会社で採用されることが多いです。

また、毎月このぐらいは残業してくれよ、と暗に従業員にプレッシャーをかける意味合いもあります。笑

裁量労働制ですが、これは使用者と労働者の間で事前に取り決めをし、その日の実際の労働時間が何時間であるかに関わらず「みなし労働時間」分労働したものとする制度で、労働基準法第38条の3・4に規定されています。

つまり事前に1日の労働時間は〇時間と決められていて、何時間働いても〇時間とみなす制度で、極論として20時間働いていても1時間しか働いていなくても〇時間とみなしますよ、という制度です。

これは制度を採用できる職種や業務内容が法律で決まっています。弁護士や建築士などの士業系、そのほかデザイナーや大学での教授研究など、専門的な業務を行う職種、そして企画、立案、調査および分析などの業務と認められた場合に採用できます。詳細は下記、厚生労働省のHPを参照ください。

裁量労働制の概要 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

要はデザイナーや企画業務のようなセンスやひらめきが求められる仕事や、弁護士などのこれまで蓄えてきた知識をもとに業務を行う仕事などは、労働時間の長さが生み出す価値に比例しにくいのでこのような制度が設定されているのだ、と理解してもらえれば良いと思います。

事業場外労働のみなし労働時間制度、これは主に直行直帰で外回りをする営業などに採用される制度で、要は直行直帰では会社として労働時間の管理ができないため、○○時間働いたとみなすという制度です。あくまでも労働時間の管理ができない場合の特例制度ですので、注意が必要です。

このみなし制度は労働時間管理ができないので、何時間働いていたとしても〇時間働いたとみなし、それ以上の残業代は支払わなくても良いという制度なので、ブラック企業などでは悪用されがちな制度です。最近は会社からの携帯やPC貸与によるログ管理などで、リモート環境でもログ管理がようにできる時代なので、この制度を利用していますという場合は少し疑ってみる方が良いかもしれません。

大企業では監視の目が厳しいのでさすがにこの制度の悪用はできませんが、地方の中小企業などでは悪用されているケースや、そもそも経営者や労務管理者が制度をきちんと理解/把握できておらず、悪気なく制度が誤って適用されているケースなども稀にあるので、「みなし」の言葉には注意です。

固定残業代制度を「みなし」と呼んでいるケースもありますが、固定残業代制度と事業場外労働のみなし労働時間制度の見分け方は、労働時間がみなし時間を超過した場合に超過分の支給があるかどうかです。

まとめ

長くなりましたが、労働時間の考え方はなかなか理解がむずかしく、正しく理解し判断することは難しいです。時には転職エージェントや社労士であっても判断に迷ったりすることも多々あります。

すべてをきちんと理解しておく必要はないので、ざっくりこんな制度があるんだなぁという大まかな理解と、この文言が出てきたら要注意!というワードだけ覚えておき、怪しいと思ったらネットで調べてみる、エージェントに相談してみる、ということができれば十分だと思います。

人生を左右するかもしれない転職の機会に、知らなかったことで失敗しないように怪しいことに気づける感度を高めておくことは大切です。

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