【求人票の見方】怪しい求人の見分けるポイント①給与条件編

転職知識

転職活動を行う中で、企業の求人票を見る機会は非常に多いと思います。ただ、仕事内容や求める要件などは理解しやすくても、労働環境に関する記述って普段見慣れない表記が多くてわかりにくいですよね。

人事や労務関係の業務をしている人なら理解できて当然ですが、毎年のように法律も変わりますし、正直言えば企業の人事担当や人材エージェントでも細かい部分を理解していない場合が多いです。

実際に私が転職エージェントをしている際に、企業の人事はもちろんのこと、その企業の顧問を務める社労士さんですら最新の法律を理解していない、なんてことさえありました。

法律は毎年アップデートしていくものなので、正直すべてを正しく把握することは不可能です。なので最新の正しい情報はネットで調べるとして、まずはこれは少し怪しいのではないか?と気づける感度を上げるポイントをお伝えしたいと思います。

自分で求人票を見たときに「最低限のリスクに気づける」ことをゴールにします。

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給与条件について

給与について、毎月現職で給与明細をもらっているのである程度見慣れた言葉もあると思いますが、改めて見ると言葉の意味を正しく認識できているか不安ですよね。しっかり理解していきましょう。

給与面で登場する単語は主に下記です。

■年収■

1年間の労働の対価として支払われる賃金の総額です。ここはご存じのとおりですね。

■年俸■

年俸制は1年単位の給与を決定し、その金額を分割して毎月支払う制度です。スポーツ選手や外資系企業など、成果や能力が反映される成果主義の組織で採用されることが多いです。日本の企業では少ない形式ですが、事前に人件費を確定できるので経営戦略を立てやすい、管理しやすいなどのメリットがあります。

年俸制の場合は、定められた年俸を12分割して毎月一定額を支給するパターンと、14分割して1/14を毎月支給、年2回の賞与で1/14を支給するパターンなどがあります。

毎年、事前に翌年の年俸を決める話し合いを企業と従業員の間で行うことが通常です。それまでの成果をもとに翌年の給与が決まるので、成果によって翌年の給与が上がることもあれば下がることもあります。ただ、事前に決めた金額からは業績や成果が不振でも1年間の間に下がることはないので、事前に出費の計画を立てやすいことはメリットと言えるでしょう。

■月収■

このあたりから怪しい人も多いのではないでしょうか。

月収とは1カ月の労働の対価として支払われる賃金の総額で、「月収=基本給+固定手当+変動手当」です。言葉の意味は後述しますのでご安心を。

■月給■

月収と月給は厳密には意味が異なります。月給は毎月固定で支払われる賃金のことで、基本給と固定手当が含まれていることが多いです。つまり「月給=基本給+固定手当」であり、「月収=月給+変動手当」ということですね。

■基本給■

職種、能力、年齢や勤続年数などを基に決められる基本となる賃金のことです。何を基準に基本給を決めるかは会社ごとに違い、就業規則で定めています。

基本給は会社における様々な賃金計算のベースとなる金額であり、残業代や賞与の金額算出の元になっている企業も多いです。ただこの基本給の考え方は会社によって多様化してきているので、気になったらきちんと確認しておいた方がよいと思います。

■賞与■

一般的には企業が一定水準以上の利益を上げた場合に、従業員への還元として支払われる一時金のことです。「一定水準の利益を上げた場合に」と記載しているように、必ず支払われるものでもありませんし、金額は毎年変動する可能性があるものです。気になるようであれば過去の実績などを調べたり、聞いてみることもよいでしょう。

中には業績が良かった年には、通常の賞与とは別に決算賞与を支給している企業もあります。賞与はあくまでも一時金扱いなので、企業によって支給方法や金額はバラバラですね。

また、賞与は過去の労働に対して労いの意味を持つものですので、賞与の算定期間に会社に在籍していないと支給されない場合がほとんどです。なので中途入社の場合は支給無しや、在籍期間分だけを月割りや日割りで支給することもあります。満額支給されることは少ないとだけ覚えておきましょう。

■残業代■

残業代とは、定められた労働時間を超えて働いた際に給与と合わせて支払われる対価のことです。労働時間には法律で決まっている「法定労働時間」と会社で決まっている「所定労働時間」の2種類がありますので、どちらの時間を超えて働くかによって計算方法が変わります。

ただ、求人票の段階では見極めることができるものではないので、詳細は一旦割愛します。またの機会に詳細を書くようにしますね。

■その他手当■

家族手当や住宅手当、地域手当など会社によってさまざまな手当てがあります。手当てが多ければよいというものではなく、手当分を基本給に入れて基本給額を多めにしているというような企業もありますので、月給がどの程度支給されるか、という部分を気にしていれば大丈夫です。

■理論年収■

この言葉は普段聞きなれない言葉ですが、転職活動の場では非常によく使われる言葉です。理論年収とは、採用された人が1年を通して丸々働いた場合を想定した理論上の年収です。

気にするところはほとんど賞与のみでOKで、先ほど賞与は中途入社では満額支給されることが少ないと記載しました。理論年収では、もし満額支給されたとしたら…を想定で計算した年収です。よってほとんどのケースでは、実際に受け取れる年収は理論年収より少なくなると思っていただければよいでしょう。

あくまでも理論的に計算した年収というわけです。

■固定手当■

役職手当や資格手当など、社員ごとに毎月一定額が支払われる手当のことです。社員一律のものもあれば、社員ごとに異なる手当や金額でもOKで、ポイントは毎月一定額が固定で支払われるということです。

■変動手当■

残業代やインセンティブなど毎月金額が一定ではなく、支給される月によって金額が変わる手当のことです。

上記のような用語の意味を理解できるような状態であればOKです。会社によってもそれぞれの呼び方が若干違ったりもするので、どの用語を指しているのかを意味から推測して理解ができれば問題ないと思います。もしくはググれば簡単にネットから確認することもできます。

また、給与条件が都道府県が定める最低賃金をきちんを上回っているかは確認が必要です。今はチェックが厳しくなっているため違反している企業はほとんど見かけませんが、あまりにも違和感を感じるような金額であれば念のため確認した方が良いでしょう。

最低賃金以上かどうかを確認する方法は下記です。

月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

最低賃金は都道府県によって異なりますので、「最低賃金 ○○県」でググってみてください。厚生労働省のホームページにも確認方法の詳細が載っていますので参考にしてください。

最低賃金額以上かどうかを確認する方法|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

感覚としては月給が150,000円/月を下回っている場合は念のため調べてみる、という感じでよいと思います。

知っているようで知らない用語が多かったり、認識が間違っていることも多い給与条件。入社後に泣き寝入り、とならないように事前にきちんとリスクに気づけるようにしましょう。

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